仮想通貨とは?知っておきたい仮想通貨の特徴とその仕組み

近年ネット上や各種メディアで「仮想通貨」という言葉を聞くようになりましたが、この「仮想通貨」というのが一体どのようなものであり、メリットやデメリットについて正確に理解している方はまだまだ少ないようです。

今回は、仮想通貨とはなにか、その特徴や法的な定義、基本的なしくみ、電子マネーとの違いなどをわかりやすくご説明して参ります。

仮想通貨を定義する

仮想通貨とはなにかを簡単に説明するなら、ネット上で交換などが行われる国際的な取引情報システムだと表現することができるでしょう。

多くの仮想通貨は発行元や運営者が存在せず、仮想通貨ネットワーク上で一定の条件のもとに自動的に発行されて市場にサプライされ、そのやりとりは暗号化技術で取引履歴が改竄などができないようになっています。

低い送金手数料が魅力

お金を送付する際、日本国内の銀行送金ですと、若干の手数料がかかります。海外送金になればかなり高く、数千円になる場合もあります。

仮想通貨であれば非常に低い手数料で送付することができます。処理をするために数分~10分程度かかる仮想通貨もありますが、ものによっては数秒で送金が完了することができます。

特権を持つ人に支配されない構造

「電子マネー」とよく似ていると言われますが、仮想通貨がブロックチェーンというこれまでにない技術を採用していることや、P2P方式という中央サーバを持たないシステムになっているため、セキュリティ性能がサーバ・クライアント方式よりも高い点で、違いがあります。

ブロックチェーンって何ですか?
ビットコインをはじめとする、仮想通貨の取引データを記載する台帳のようなものだ。詳しくは「ブロックチェーンの仕組みとは?初心者でもわかるやさしい解説」を読んでみてくれ!

日本においては合法の決済手段

仮想通貨はそれのみならず、世界各国で発行されている紙幣などの法定通貨との交換もできるようになっています。

現在言われるところの仮想通貨は、ビットコインの登場(2009年以降)から始まり、現在までに8年間の歴史があります。現在では仮想通貨の種類は1000種類以上にも増えていると言われています。

面白いのは、モノであると同時に消費税がかからない点です。仮想通貨の売買は 2017 年 7 月 1 日より消費税が非課税と法で定められました。

一方で、仮想通貨トレードなど得た収益は、個人の場合は雑所得扱いで総合課税対象になります。(これは仮想通貨の特徴ではなく、単に日本政府がそうした、というだけのことですが)

仮想通貨はいつでも、誰でもやりとりすることができるものです。仮想通貨の取引所が世の中に存在し営業時間、取引時間に制限なく24時間いつでもネット上で取引ができます。日本円に変換して出金する手続きも、多くの取引所で素早く行えます。

「資金決済に関する法律」での定義

日本では、2017年4月1日から新法「資金決済に関する法律」が施行されています。この中で、日本における仮想通貨の定義が明確になされています。

「資金決済に関する法律」の第二条5には、仮想通貨が以下のように定義されています。

「この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。

一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」

このように、財産とみなせる価値を持ち、決済の目的で送付・交換が可能なものであるため、仮想通貨はこの法律の対象になっています。(仮想通貨を定義して租税する目的でこの法律は作られました)

仮想通貨は法定通貨か

仮想通貨の発行団体は、多くの場合特定の銀行、企業が発行しているものではなく、ボランティア的なネット上のユーザーグループによって設定され、自動的に産出されます。

国家が発行をしているものではないため、仮想通貨は法定通貨ではありません。

日本では前述の新法で定義する通り、「支払手段」と定義されているのみで、「日本円」と同じ立場ではなく、仮想通貨は「資産」として扱われます。

「仮想通貨」と「暗号通貨」は別物か

最初にこの仮想通貨という概念が発表されたのは英語の文書です。そこでは、「Cryptocurrency」という表現が使われています。

これまでにそのような言葉はなく、訳語としての漢字の「仮想通貨」および「暗号通貨」は、基本的に表記のゆれにすぎません。

古くはCrypto-の部分を「暗号化」と表現した訳語があり、そこから暗号通貨という言葉が自然に生まれました。まだ今のように知名度が高まるはるか前のことです。

その後、テレビや新聞などが日本でこれらを紹介する際に、「仮想通貨」という表現を使うようになりました。仮想は英語的には「Virtual-」になります。

バーチャルマネーという表現は本来のCryptocurrencyの本質を表していないようですが、自然にマスコミから一般へ「仮想通貨」という表現が広まり、現在では主流となっています。

古くからビットコインなどを売買したり研究している日本語話者は、「暗号通貨」というべきだと主張する人も多く、メディア主導で全国的に広がった「仮想通貨」は素人臭いと感じて使わない人もいます。

また後述する、所謂電子マネーと混同されないよう、あえて「暗号通貨」という表現をする人もいます。

仮想通貨と電子マネーは何が違う?

私達の生活ではもうかなり前から、電子マネーが普及して、多くの人々が日常的に使用しています。

電子マネーは、例えばSUICAや、楽天edyなどがそれに当たります。これらはある企業が発行しています。「電子マネー」とは言うものの、実際には「日本円を電子化したお財布」に過ぎません。

電子マネーの使用の前には、現金(またはクレジットカード)を電子マネーを発行している企業に預けます。すると電子マネーはウォレットアプリなどに入金され、そこから様々なシーンでお金を払うときに使用できるようになっています。

スイカにしてもEdyにしても、電子マネーと法定通貨の日本円は完全に1:1で、同じ額です。10000円リチャージすれば、その分が電子マネーのウォレットに入るのです。

その電子マネーで買い物をした場合、その分のお金は、お店から発行団体へ出金リクエストが行きます。一定期間のトランザクション分をまとめて、お店・会社から電子マネー発行団体に対して、決済された電子マネーの合計額が請求されます。

この電子マネーは、前述の「資金決済に関する法律」に数年前に定義されたもので、法的には「第三者型前払式支払手段」というものです。

同法での「電子マネー」の定義は、以下のとおりです。
「前払式支払手段の定義は、第3条第1項に定められているところ、(1)金額等の財産的価値が記載、記録されること (2)金額、数量に応ずる対価を得て発行される証票等、番号、記号その他のものであること (3)代価の弁済等に使用されることの三つの要件を満たすものが該当するとされている。(以下略)」

簡単に言うならば、電子マネーは、つまり日本円という法定通貨を預けて、その分の「プリペイドしたお金」の証明となるポイントがもらえ、それをモノやサービスの対価として支払う時に消費されるようなトークンだというわけです。

仮想通貨との比較に於いては、「電子マネー」は、預けたお金の価値は担保されている点が大きくことなります。

仮想通貨は預けたお金の価値が担保されていないんですか?
そうだ。仮想通貨は、たしかに日本円や米ドルなどの法定通貨で「買う」ことは出来るが、基本的に「私が1万円払って買ったのだから、いつでも1万円分の価値が保証されている」のではない。

仮想通貨は日本円をチャージしたからその分ビットコインが与えられるのではなく、株式や黄金を買うようにして取引所で購入できますが、その売買価格は常に揺れ動く相場の上にあり、急に値段が高くなったり安くなったりしています。

仮想通貨は、時には数倍にも(対法定通貨で)価格が暴騰することもあれば、暴落も勿論あります。投資の対象としては、「豪快で魅力たっぷり」だと言えるでしょう。

また、仮想通貨は発行元の中央サーバに記録されているのではなく、ユーザが自分で管理する財布(ウォレット)の中に入れています。

このウォレットはスマホやパソコンの操作ができれば、子どもでもご老人でも、どんな人でも自由にインストールでき、仮想通貨を受け取ったり送付したりすることができます。

未成年がいけないとか、そんなことはどこにも定められていません。この点は、単純な硬貨のようです。幼稚園の子が10円玉を持っていても何の問題もないのと同じです。

Aさんの電子マネーの残高は、他人は知ることができませんが、仮想通貨の多くは、一つ一つの財布の残高は誰でも見られるように公開されています。

多くの場合、自分の保有する電子マネーを他人の電子マネー財布に送ることはできず、日本なら日本国内のお店や交通機関で使用するしかありません。

電子マネーは法律上、払い戻しをすると前払い金ではなくなり、日本国の法律では預り金関連で別途の規制がかかるのです。

オープンな仮想通貨は、国境を越え、遠い国のある人へ支払いをすることも、銀行や経由せずに実現できます。仮想通貨をハードウェアウォレットに貯めておき、パソコンなどから一切の記録を消して政府の干渉を避けることさえもできます。

多くの仮想通貨は、パソコンなどのウォレットを使わず、紙の上に残高が取り出せるパスワードを印刷し、その紙の上のデータとして保管することもできます(これをペーパーウォレットといいます)。

ウォレットについては「仮想通貨をウォレットで管理しよう!取引所との違いと種類を解説」で詳しく紹介しています。

代表的な仮想通貨

まずは、仮想通貨の元祖と言えるビットコインですが、現時点で仮想通貨の基軸通貨です。まずはビットコインを購入して長期保有することは仮想通貨投資の定石だと言えます。

この他、イーサリアム(ETH)も世界ではビットコインの次に知名度があり、イーサリアムを使ったスマートコントラクトによる様々なサービスが行われています。

スマートコントラクトってなに?

一言でいえば「契約の自動化」のことだ。スマートコントラクトを利用すれば、契約行動をプログラム化し、自動的に実行することができるぞ。

スマートコントラクトについて詳しく知りたい場合は「スマートコントラクトとは?仕組みと事例からわかる仮想通貨との関係」を読んでみてくれ。

ビットコインとは違うコンセプトですが、さまざまな仮想通貨の中でも抜群に信頼されているコインです。

リップルという仮想通貨は、瞬時に様々な通貨間で取引ができるシステムです。大手銀行がリップルを送金システムで利用するというニュースが近年よく流れており、近いうちに実際の銀行送金で実用化されることでしょう。

これは厳密にいうと「リップル社」の発行するトークンで、一般的な仮想通貨の概念と合わない所がありますが、市場においては根強い人気があり、単価は安いですが大きく高騰をしています。

ビットコインからハードフォーク(分裂)して「ビットコインキャッシュ」という仮想通貨も生まれました。ビットコインを改良したもので、ビットコインよりも様々な点で優れており、将来的には基軸通貨としての地位を奪うのではないかとも囁かれています。

日本国産の仮想通貨であるモナーコインも最近注目されています。

2014年1月にローンチ(運用開始)したころは、まだ1MONAの価格はわずか1円もありませんでしたが、その後どんどん成長、上昇と下落を繰り返しながら、一時期は1000円を突破。現在では、約700円前後の価格で安定しています。

モナーコインは日本のサブカルチャーと相性がよく、コミケットなどでこれから決済手段としてどんどん普及するとともに、価格も高まっていくと見られています。

なぜ人は仮想通貨を争って買うのか

仮想通貨の現在の特徴として、その相場の変動がたいへん大きい点が上げられます。これは「ボラティリティ(Volatility)が高い」といいます。「ボラティリティ」とは、価値変動の幅の大きさ、激しさ示す指標です。

つまりボラティリティが高いものは、意外なほど大きく儲かる可能性が高く(その逆もあります)、ボラティリティが低いと変化が感じにくくなります。

ビットコインは、2017年1月の価格が1BTC(ビットコインの単位)が10万円程度でしたが、年末の12月には200万円を突破しました。ここから「億(おく)り人(びと)」という流行語まで飛び出しています。

仮想通貨の高いボラティリティは、投資対象として見るとたいへん魅力的なので、多くの人が買うようになり、そのために価格が急上昇しているのです。

需要が高くなると、その分価格も高くなるんですね!
そうだ。また仮想通貨の多くは供給量が最初から決まっていて、無制限に増産することもできないから、急激なインフレを起こさない。

知名度が上がるにつれ、前述のように多くの人が求めれば求めるほどサプライが下がって、価格は高騰していくことになります。

一番有名な仮想通貨の「ビットコイン」については、その最大発行数は2100万ビットコインですが、すでに半分近くが発行済みで、その多くはすでに一部のユーザが保有して市場で売却していないままだと言われています。

ビットコインのサプライはこのように大変少なく、知名度が年々高まるって行くにつれ、購入をする人がわずかな市場流通中のビットコインを買うために、価格は暴騰の一途を続けています。

また、ビットコイン以外の仮想通貨も、ビットコインとの売買がなされますが、ビットコインの価格が上がることで、相対的にその他の仮想通貨も対法定通貨で価値を上げていきます。

仮想通貨のデメリット

正直申しますと、仮想通貨のデメリットは、実はかなり沢山あります。

まずは、発行団体や企業などが特にない仮想通貨がほとんどですが、何か問題があった場合も、どこも責任は取ってくれません。

すべてユーザ自身の責任でやり取りなどを行いますので、正しく送金したはずなのになかなか届かないという事故があった場合、どこかへクレームしてカネを返せと言えるわけではないのです。

また、現在の一般的な仮想通貨マーケットの概況としては、法定通貨に対する価値が乱高下しており、とても安定した「コイン」として決済に使うには価格が定まらなさすぎることもある意味でデメリットです。

これは、将来社会に仮想通貨が十分普及したころには、価格変動も小さくなって、安定すると見られます(そのころまでにさらに新概念や新技術が生まれ、仮想通貨が駆逐されていないと仮定しての話です)。

また、昨今仮想通貨が話題になり、ビットコインを始めとする多くの仮想通貨の相場が上がったことで、仮想通貨の送金手数料も法定通貨計算すると、場合によっては銀行手数料よりも高くなる可能性があることです。

銀行を使うよりずっと安いはずだったはずが、人気が高まったせいで手数料が円計算で銀行手数料より高いとは皮肉なことになりそうです。

さらに、今後何年も使われていくと取引の記録データ量は膨らんでいき、「ブロックチェーン」という取引記録データ群を取り扱う負荷が深刻になっていくでしょう。

数年前に、当時有名な仮想通貨の取引所「マウントゴックス」が閉鎖し、利用者が入金していたビットコインや現金が取り出せなくなり、そのまま倒産する「世界的な事件」がありました。

これは仮想通貨の歴史においては価格に大きな影響を与えるほどの大事件であったため、仮想通貨は信用できないという印象が世の中にはまだ根強くあります。

このような取引所での事故や計画的倒産に巻き込まれ、資産を失うリスクもあります(この問題は仮想通貨自体に問題があるからリスクがあるのではありません)。

仮想通貨投資はこういったデメリットを知った上で、行いましょう。

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今後仮想通貨はどうなっていくのか

未来のことを予測することはやや困難が伴いますが、世界は常に革新的なモノやサービスを求めています。

こういう画期的なモノは、まず最初に大胆な人たちが好奇心で試し、その口コミが周囲に広がって、次に比較的新しいものに抵抗がない人々が手を出します。そこから一気に普及することが多いのです。これを「イノベーター理論」と言います。

このようにして自動車も、ウォークマンも、スマートフォンも普及して行きました。

当然ながら、仮想通貨も同じように人々の間で広がり、便利さが認められれば、これまでの懐疑心はどこへやら、あっという間に普及していくでしょう。

その間にむやみやたらな仮想通貨の乱発が起こらない限りは、一般的には相場は高騰していき、早期に仮想通貨を手にして保有していれば、大きな売却益も見込めるでしょう。

仮想通貨の今後に関する記事

仮想通貨のこれから

正直言って、仮想通貨は現時点で「広く普及している」とは言えません。また多くの国家がこの仮想通貨の出現に驚き、戸惑い、手に負えないからまずは規制や禁止をしておこう、と考えている段階です。つまり、まだまだ人々は仮想通貨をどうしていいのかわからないと悩んでいるのです。
世界が仮想通貨について正しく理解し、周知に努めていくことで、その便利さを認めた国家が適切な法律を作り、利用を合法的に認めていくでしょう。その流れが世界的な普及を後押しし、近い将来爆発的に普及し、場合によっては法定通貨よりも仮想通貨が優勢になるシーンも増えてくるかもしれません。

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