ビットコインが消えたマウントゴックス事件とは?時系列で事件を解説
- 2014年に発生した「マウントゴックス事件」
- 当時の価格で日本円470億円分が流出
- 真相は、未だ明らかになっていない
ある日突然、銀行に預けていた自分のお金がすべて無くなっていたら・・・。
銀行預金の預金で、そんな不安を抱える人は少ないですよね。しかし仮想通貨の場合、それが現実になりました。
マウントゴックス(Mt.Gox)という仮想通貨の取引所に預けられていた、470億円分のビットコインが流出したのです。
これが2014年に起こった「マウントゴックス事件」であり、取引所にビットコインを預けていた12万7000人の顧客が被害を受けました。
今回の記事では「マウントゴックス事件」について、詳しく解説します。マウントゴックスの設立から、流出事件の発生、事件発生後の展開まで、時系列に沿ってみていきましょう。
マウントゴックスは設立4年で世界最大のビットコイン取引所へ
まずはビットコインの流出事件が起こった、マウントゴックスという会社について、確認していきましょう。
マウントゴックスは、2009年にジェド・マケーレブ氏によって設立されました。
設立当初はカードゲームをオンライン上で取引するサイトを運営。しかし2010年からビットコイン事業に転換します。
マケーレブ氏は2011年3月に、Tibanne(ティバン)という会社を運営していた、フランス人のマルク・カルプレス氏へ、マウントゴックスを売却。東京の渋谷に本社が置かれました。
マウントゴックスは2011年6月19日にハッキング被害を受けますが、2013年のキプロス金融危機により、ビットコインの価格は上昇します。その後マウントゴックスへの注目も高くなりました。
そして2013年には、世界のビットコイン取引量の70%をマウントゴックスが扱うようになったのです。
マウントゴックス事件はどのように起きた?事件の流れを解説
2014年2月28日、仮想通貨取引所であるマウントゴックスから、ビットコインが流出したことが判明。
この流出事件により、マウントゴックスは経営破綻しました。
まずはマウントゴックス事件の流れを、年表で確認していきます。
月日 | 出来事 |
---|---|
2月7日 | ・マウントゴックスによる、すべてのビットコインの払い戻しが停止 |
2月25日 | ・マウントゴックスがウェブサイトにて、ビットコインの全取引中止をすると発表 |
2月28日 | ・マウントゴックスが記者会見で、顧客が保有する75万BTCと自社保有分の10万BTC、預かり金28億円程度が流失したと発表 ・マウントゴックスは民事再生法※の適用を、東京地裁に申請表 |
3月20日 | ・マウントゴックスに20万BTCが残っていることを確認 |
4月24日 | ・東京地裁が、マウントゴックスの民事再生法の申請を棄却 ・マウントゴックスは破産開始決定を受ける |
これがマウントゴックス事件の主な流れです。
次の項目から、事件をより詳細にみていきましょう。
マウントゴックスからビットコインが流出!流出額は日本円で470億円
2013年には世界最大の取引所であったマウントゴックスですが、2014年2月に転機を迎えます。
2月7日、マウントゴックスによるビットコインの払い戻し(ビットコインを円などの法定通貨に戻すこと)が突如として停止したのです。
25日には、マウントゴックスがウェブサイトにて、すべてのビットコインの取引を停止すると発表。
そして28日に、マウントゴックスは記者会見を開き、取引所からビットコインが流出したことを発表しました。
流出額は顧客の75万BTCと、自社保有の10万BTC。そして購入用の預り金28億円です。
当時のビットコインは1BTC=約55,000円なので、流出した85万BTCは日本円にして、470億円前後とみられます。
ビットコイン流出の影響でマウントゴックスが破綻!
2014年2月28日にマウントゴックスは東京地裁へ対して、民事再生法の適用を申請しました。
しかし東京地裁は、民事再生法の立案・遂行が困難と判断し、申請を棄却。
同年4月24日、民事再生法の適用が棄却されたマウントゴックスは東京地裁から、破産開始決定を受けたのです。
マウントゴックスからビットコインが流出した原因は不明
でも実はビットコインの流出原因が、本当に外部からの不正アクセスだったのかは、分かっていません。
マウントゴックス事件の展開!2人の容疑者を逮捕
マウントゴックスは2014年2月28日の記者会見で、ビットコイン流出が外部のハッキングによるものだと発表しました。
マウントゴックス事件発生後の動きを、みていきましょう。
マウントゴックス社長のカルプレス氏が、不正操作の疑いで逮捕!
2015年1月22日、警視庁サイバー犯罪対策課による調査で、次のことが分かりました。
- 流出したビットコインの9割以上が「内部の不正操作」
- 「外部からのハッキング」は残りの1割にも満たなかった
つまりビットコインの流出は、マウントゴックス社内の不正操作が原因である可能性が高いと判明したのです。
そして2015年8月1日、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で、マウントゴックス社長のマルク・カルプレス氏が逮捕されました。
マウントゴックスの社内システムを不正操作し、自身名義の口座残高を100万ドル水増しした疑いです。また8月21日には顧客からの預り金、3億2100万円を着服したとして、業務上横領容疑で再逮捕されています。
カルプレス氏は2016年7月14日に、保釈保証金1,000万円を納付して保釈。
マウントゴックス事件に関わる別の容疑者を逮捕!ビットコインを資金洗浄に使用
カルプレス氏が無罪を主張する一方で、新たな進展がありました。
2017年7月26日に、ビットコイン取引所「BTC-e」の運営者アレクサンダー・ビニックというロシア人男性が、マネーロンダリング(資金洗浄)※の容疑で逮捕されたのです。
麻薬や脱税など、犯罪で得た不正資金の出所をわからなくする行為。具体的には架空の名義を利用して、不正資金の送金を繰り返したり、不正資金で株や債券を購入したりします。
ビニック氏はハッキングによりマウントゴックスから資金を入手し、BTC-eなど自身がもつ取引所を通じて資金洗浄した疑いが持たれています。資金洗浄の合計額は40億ドル以上だということです。
無罪を主張するカルプレス氏と、何か関係があるのかもしれません。しかしマウントゴックス事件の真相は、いまだ明らかとなっていないのです。
マウントゴックス事件は未解決!ビットコイン以外の流出事件も発生
ですが内部による不正操作にせよ、外部からのハッキングにせよ、仮想通貨に流出するリスクがあることは確かです。
実際マウントゴックス事件以降も、仮想通貨の流出事件は起こっています。
2016年に香港の取引所から12万BTCがハッキングにより盗まれた、ビットフィネックス事件。そして2018年日本の取引所であるCoincheck(コインチェック)から、仮想通貨NEM(ネム)が流出した事件などです。
仮想通貨の流出・取引所の破綻が起こっても、仮想通貨が戻ってくる保障はありません。
こういったリスクを抑えるためにも、仮想通貨を利用する際は、「セキュリティ対策をしっかりと行えているかどうか」や「サイバー保険に加入しているか」など、より信頼できる取引所を選びましょう。