ビットコインといえば、仮想通貨の中で最もメジャーな代表的仮想通貨です。
誕生した当初こそ無価値も同然だったビットコインですが、時代の経過と共に価値を跳ね上げ、今やビットコインを数枚保有しているだけで一財産を築けるほどの価値を形成しています。
ビットコイン長者の成功を見て、自分もビットコインに投資をして稼ぎたいと思った人は世の中にきっと多くいることでしょう。ただ、ここで一つ疑問が生じます。
そもそもビットコインとは一体どのような利便性があるのでしょう?ビットコインには法定通貨以上のメリットがあるのでしょうか?
確かにビットコインは便利な代物なのでしょうが、果たして本当にドルやユーロ、円などの法定通貨よりも便利でメリットのある代物と呼べるのでしょうか?
そしてそのメリットは、仮想通貨が抱えるあらゆるデメリットやリスクをカバーできるだけの優位性を秘めているのでしょうか?
ビットコインが今後、価値を高めることができるかどうかは、偏にビットコインが持つ潜在能力次第と言えるでしょう。
ビットコインがただ便利な代物で、法定通貨を超えるだけのメリットを見出せないのであれば、価値は今後下落するかもしれません。しかし、法定通貨では真似できないようなメリットがあるのであれば、今後ともビットコインの価値は上がり続ける可能性があります。
ビットコインを使用するメリットとデメリットとは?
ビットコインは2018年3月26日時点において、1000種類以上あると言われる仮想通貨の中で最も時価総額が高い仮想通貨です。
その時価総額は14兆円を越えており、次に時価総額が高いイーサリアムですら時価総額は約5兆円です。世界で最も購入されている仮想通貨といえば、文句なしでビットコインなのです。
そんな世界中から注目されているビットコインが持つメリットとは一体何なのでしょう?そして、ビットコインにはデメリットは無いのでしょうか?
ビットコインを使用するメリットとは?
もしも円やドルではなく、ビットコインを使用する場合、どのような恩恵を受けられるのでしょう?
まず、ビットコインはクリック一つで簡単に送金をすることができます。これは法定通貨にはないメリットです。
もちろん、近くにいる人に直接現金を手渡すというのであれば、円やドルでも可能です。しかし、遠方にいる個人、特に海外にいる特定の人物ともなると、とても手渡しではお金を送金できません。
法定通貨を海外に送金する場合、様々な手続きを要求されます。まず円と外貨を両替しないといけませんし、国内の銀行に送金手数料を払って海外の銀行口座へ送金してもらう必要があります。
送金手数料といっても、一つではありません。国内銀行に支払う手数料と、海外銀行用に支払う手数料の二つを支払う必要性が生じます。
このように、銀行を介して送金を行う場合、手数料が高くなるというデメリットが生じます。しかし、ビットコインならば、銀行に支払うよりも安い手数料で送金が可能です。
それも、銀行のような中央機関が存在しないため、時間がかからず、高速で送金ができます。銀行を介して海外に送金をする場合、どれだけ早くても1営業日から2営業日ほどの時間かかります。しかし、ビットコインならば、それほど時間をかけずに海外送金ができるだけに、法定通貨と比べて非常に優位性が高いです。
これらのメリットに加え、ビットコインには制限がないというメリットがあります。法定通貨を送金する場合、送金額が100万円以上を超えると手数料が上がるなど、様々な制限が付きます。しかし、ビットコインの場合、送金額がいくら高額になろうとも、特に制限なく送金できます。
その上、世界中のどの地域であっても同価値で使用することができるので、いちいち両替する必要がないというメリットがあります。
ビットコインには、手数料が安く、送金スピードが速く、制限がなくて、どこでも使えるという法定通貨では決して真似できないメリットがあるのです。
ただし、ビットコインにあるのはメリットばかりではありません。デメリットもあります。
ビットコインを使用するデメリット
使用するだけなら法定通貨よりもメリットの多いビットコインですが、その反面、現在のビットコインは投機性が強いというデメリットを抱えています。
これが2016年代であれば、ビットコインの価格変動が問題視されることはありませんでした。しかし、2017年のビットコインに関して言うと、たった1年で10倍以上の値上がりを引き起こしたという記録があります。
ビットコインを保有している人からすれば、ビットコインの値上がりは嬉しいメリットです。しかし、2018年の初頭、ビットコインは暴落し、一時は50%以上の落ち込みすら見せました。
もしも自分の資産がたった1ヶ月で勝手に半分以下にまで減ってしまったら、想像するだけでも恐怖の事態です。そして、ビットコインを大量に保有していた人の中には、まさに文字通り資産を半分以下にまで減らしてしまった人もいます。
このように、ビットコインは投機性が強く、価格が不安定という欠点があります。さらに、国による価値の裏付けがないため、万が一の事態が生じても、誰も助けてはくれません。
これが法定通貨の場合、もしも経済危機が発生しようものならば、政府が総力をもって解決してくれるでしょう。被害が出たのであれば、補償だってしてくれるはずです。しかし、ビットコインに何か重大なトラブルが生じた時、一体誰が問題を解決し、そして被害に対する補償をしてくれるのでしょうか?
これが法定通貨で、銀行に保管してあるお金ならば、死亡していることを証明するだけで遺産を相続することができます。しかしビットコインの場合、セキュリティが強すぎるだけに、万が一のことがあっても誰にも相続されないというデメリットを抱えているのです。
実際、秘密鍵を紛失してしまい、ビットコインが使えなくなってしまったと言う事例が世界中で報告されています。
価値が不安定で、政府による補償がなく、さらにはセキュリティが強固すぎて簡単には他人に譲渡できないなど、ビットコインが抱えているデメリットは意外と多く存在します。
ビットコインは安全に使えるのか?危険はないのか?
ビットコインは円などの法定通貨と違い、現実には存在しないものです。もしも電子マネーが消失したとしても、現実のお金が消えるわけではありません。しかし、ビットコインがもしも消失してしまった場合、どうなるのでしょう?
さらに、通貨には常に偽造のリスクが付きものです。日本のお金は最高レベルの技術を使って作られているため、そう簡単に偽造することはできません。では、ビットコインはどうなのでしょう?
ビットコインはネット上に存在するお金なだけに、クリック一つで簡単にコピーできてしまいそうな気がしますが、実際はどうなのでしょう?
通貨というのは、極論で言ってしまえば誰にも偽造ができなければ何でも良いのです。そして、それこそが最大の課題でもあります。果たしてビットコインは誰にも偽造や改竄などの不正行為をされずに、安全に運用することができるのでしょうか?
ビットコインが安全に使用できる理由
ビットコインを使用すると、円などの法定通貨にはない安全性を得ることができます。例えば日本円の場合、もしも財布を盗まれてしまうと、現金をすべて奪われてしまいます。しかし、ビットコインであれば、そのような盗難の被害に遭う恐れがありません。
たとえビットコインが保管されているハードウェアウォレットそのものが盗まれたとしても、秘密鍵と新しいウォレットがあれば中身をすぐに復元することができます。秘密鍵が周囲にバレない限り、ビットコインは安全に保管することができるのです。
このように、ビットコインは盗難に関して言えば、非常に安全に管理できる代物です。現物を盗まれる心配が少ない分、現金よりも安全かもしれません。
だからビットコインの取引データを改竄することは、現実的に不可能だと言えるだろう。
ビットコインはブロックチェーンと呼ばれる技術によって支えられているのですが、このブロックチェーンは取引の時間が経過すればするほど長大になっていきます。つまり、ビットコインは時間の経過と共に、改竄されるリスクが減少するということです。
ビットコインの改竄を例えるならば、回転寿司のお寿司を一枚ずつすべて食べていく行為に似ています。理論上、回転寿司のチェーン上に新たにお寿司が追加されるペースよりも早く食べ続ければ、いつかはすべて食べきれるでしょう。しかし、次々と現れる回転寿司のネタを完全に完食することは現実的に不可能です。
ビットコインにはこれらの安全性に加え、さらに消滅のリスクが低いという利点があります。
ビットコインのような非中央集権的な仮想通貨の場合、特定の管理者がいません。もしもビットコインに特定の管理者がいて、そのサーバーが攻撃に晒されて消滅してしまった場合、ビットコインも消滅してしまう恐れがあります。
しかし、特定の管理者がいないビットコインならば、そのような危険はありません。
日本は信頼できる政府なので、日本政府が消滅する可能性など万に一つもありません。しかし、もしも日本政府が無くなったら、もしくは信用が失墜してしまったら、おそらく日本円の価値は無くなってしまうでしょう。
日本円の価値が無くなった時、それ以外の通貨を持っていないと生活すらままならないです。しかし、ビットコインがあれば、何とか生活できるかもしれません。
なにしろビットコインは非中央集権的な通貨なため、特定のサーバーがダウンすることで消滅するということはまずありません。さらに、その価値は法定通貨から独立しているため、世界恐慌のような経済危機が起きたとしても、価値が失われることはないでしょう。
盗難や改竄に強く、さらには価値が消滅し辛いという安全性があるだけに、ビットコインはデジタルゴールドなどと呼ばれています。
ビットコインを使用するリスクとは?
ビットコイン単体で言えば、この通貨は非常に安全性が強い存在であることがわかります。しかし、ビットコインにリスクがなくても使用する側にリスクがあります。
ビットコインは確かに盗難に強いという特徴があるのですが、その一方で秘密鍵を他人に知られてしまうと簡単に盗まれてしまうというリスクがあります。
ビットコインに送金者の真贋を判別する能力はありません。そのため、秘密鍵を盗まれ、不正な方法で送金をされたとしても、それが不正だと見抜けず、そのまま送金されてしまいます。
そして、一度でも送金されてしまったら最後、そのビットコインを取り戻すことは限りなく不可能に近いでしょう。
それだけに、ビットコインを管理する際にはどこに保管するかが重要になります。より安全性を重視するのであれば、ハードウォレットに保管するのが現状で最もベストな方法でしょう。
2018年1月に取引所大手のコインチェックから大量のネムが流出したという事件が起こりました。仮想通貨を狙うハッカーは世界中にいるようで、大手取引所は常にハッキングのターゲットにされています。
どれほどセキュリティレベルの高い取引所だとしても、絶対に安全とは言い切れません。このようなリスクがある以上、ビットコインに限らず、仮想通貨を保管する際には取引所ではなく、自分で保管するべきでしょう。
ビットコインをコールドウォレットに保管している限り、ハッキングの被害を受ける可能性は低いです。ただこの時、必ず秘密鍵を忘れないようにしておきましょう。
もしも秘密鍵を忘れてしまうと、たとえ所有者本人であってもビットコインを取り出せなくなります。さらに、送金をする際には、アドレスを間違えないようにしましょう。
ビットコインを一度でも誤送信すると、二度と取り戻せない恐れがあります。やり直しができないばかりか、誰に送信したのかすらわからないだけに、誤送信によって消失してしまったビットコインは今後返ってこない可能性がとても高いです。
そして、ビットコインはマネーロンダリングに使用される危険性が高いということもあってか、個人間による取引は非常に危ないです。
相場よりも格安で手に入ったビットコインが、実は犯罪目的で使用されたビットコインだったという可能性があります。取引をする際には取引所を使用するなど、信頼できる相手以外の取引は避けた方が良いでしょう。
いくらビットコインが安全面で完璧な代物だったとしても、使用する相手が人間である以上、盗難やミスなどのリスクはつきものです。
これらのリスクに対して補償してくれる人や組織がいないというのが、非中央集権的なビットコインの最大のリスクかもしれません。
ビットコインが抱える問題点とは?
調べれば調べるほど、実は法定通貨よりもメリットが多く、安全性もあるビットコインですが、全く問題がないわけでもないです。
ビットコインには、仮想通貨ならではの問題点を抱えています。この問題点を解決できない限り、ビットコインが世界的に普及することは難しいです。
ビットコインのスケーラビリティ問題などがその最たる例でしょう。
ビットコインのスケーラビリティ問題とは?
ビットコインの人気が高まるにつれて、世界中で利用者が増えています。これが円やドルならば、それほど大きな問題にはならないのですが、ビットコインはデジタルな通貨です。
利用者が増えると、それに比例して取引量が増えます。すると、やがてはデータ処理速度が遅延し、ついには送金にかかる時間まで遅くなってしまいます。
ビットコインのブロックサイズはそれほど大きくはありません。そのため、世界レベルで取引が普及し、トランザクションの数が増えると、ますます取引のスピードに遅れが生じます。
いくら便利な代物といえど、決済をする度に長い時間を取られるというのでは意味がありません。このスケーラビリティ問題を解決できない限り、ビットコインが世界的に普及する可能性は低いでしょう。
さらに、ビットコインの人気が高まることで、価格が高騰し、結果的に手数料が増加するというデメリットを招いています。
ビットコインは人気が上がれば上がるほど、使えない通貨になるという、矛盾した性質を持っているのです。
ただ、この課題を解決するために、ビットコインのハードフォークや、ライトニングネットワークの開発など、様々な取り組みが成されています。
現在でこそスケーラビリティ問題はビットコインの普及に歯止めをかける課題なのですが、将来的には解決されるかもしれません。
ビットコインを保有する際のリスクと対処法
ビットコインそのものに関して言えば、盗難のリスクは低いです。しかし、秘密鍵を紛失もしくは盗まれると、ビットコインを消失もしくは盗まれる可能性が高くなります。そのため、ビットコインを使用する際には秘密鍵を絶対に無くさないように注意しましょう。
さらに、取引所に保管をすると、その取引所がハッキング被害を受けた時に、同時にビットコインを盗まれてしまう恐れがあります。そのようなリスクを回避するためにも、取引以外のビットコインはハードウォレットに移し、ネットワークに接続されていない状態で普段は保管しておきましょう。
たとえビットコインが盗まれなかったとしても、価値が暴落すれば、保有するビットコインの価値も失われてしまいます。
そのため、ビットコインを保有する際には、全財産をビットコインに投資をするなど、無茶な取引は絶対に控えましょう。
ビットコインには様々なリスクが付きものですが、余剰資金でビットコインの取引をしているのであれば、常に被害を最小限に抑えることができます。
ビットコインに投資する金額は給料の1割までなど、しっかりとルールを作っておきましょう。
計画性をもって取引をしている限り、大きなリスクに遭う可能性は低いでしょう。
ビットコインは保有しておいた方が良いのか?
ただ、それはビットコインに限った話なのでしょうか?土地などの不動産だって、バブルが弾けた時に暴落しました。法定通貨だって、政府の信用が失われれば、価値を失うでしょう。
現在でこそ、日本は経済的に恵まれている国です。しかし、このような経済的豊かさが今後も持続すると一体誰が保証したのでしょうか?
日本は1946年にインフレを理由に預金封鎖を行いました。1998年にはアルゼンチンが預金封鎖を行いました。
2008年のリーマンショックが起きた時、キプロスでは預金封鎖が行われたのですが、この時に活躍したのがビットコインです。
金融危機のせいで自国のお金を銀行からおろせなくなった時ですら、ビットコインならば問題なく使用することができました。
ビットコインは確かに現状において、様々なリスクを抱えています。しかし、それは法定通貨とて例外ではありません。
資産が日本円だけだと、その日本円に問題が生じた時、即座に生活が破綻してしまう恐れがあります。法定通貨に万が一の事が起きた時のために保険を確保したい、そんな時にビットコインは役に立つでしょう。
皮肉な話かもしれませんが、ビットコインは世界恐慌のような経済危機が発生した時ほど、利便性を発揮し、価値が上がる可能性があります。